ドールハウスの定義:欧米家具のあれこれ

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ドールハウスの定義

現代のように定義づけられたドールハウスの誕生は1924年の英国のクィーンメアリーのドールハウスからです。女王自身、このミニチュアコレクションの世界に熱中しており、たくさんのコレクションを、それは大切にしていたそうで、当時、王族のプレゼントとしても最適であったとされています。当時の建築家、ラチアンズ卿がそのデザインをして(ミニチュアの5階建ての架空の女王のお住まい)、その国中の専門家が招かれ、女王メアリー(キングジョージ5世の妻)に献上するために日夜会議が行われました。その会議の内容とは、一つはスケール(縮尺)でした。
国中の専門家にミニチュアの制作を依頼する場合、どうしてもその取り決めが必要でありました。1/12スケール(実物に対して12分の1)に決まりました。そこではなぜ1/12のスケールになってしまったのでしょうか?それは基準となる単位にあります。私たちは現在、物を測る単位にm(メートル)法を使用していますが、その他に諸外国で使用するフィート、インチの単位があります。
もし1フィートのものを1インチで作ろうとすると1/12になっているからです。ですからアメリカの市場ではインチスケール、(1/12) ハーフインチスケール(1/24)クヲーター(1/48)の名前で呼ばれています。

日本ではドールハウスによく似ているもので、建築模型の世界がありますが、その基準となる単位はメートル法です。それをcm(センチ)、ミリ (mm)の単位にすると1/100、1/1000のようにちょうどの数字になっています。そのため日本の建築模型の縮尺は1/200、1/100などのように数字がまとまった単位になっています。アメリカのミニチュアコレクターの間では、特にこの縮尺に関して厳しく、少しでも大きい物はトーイ(またはジャンク)と呼ばれ、はっきりとドールハウスの趣味とは区別されています。
またドールハウスという呼び名も趣味全体を指すようで、高価な作品や精巧な物に対してはミニチュアとよび、だれもドールハウスとは呼んでいないようです。
また英、米のちょっとした、呼び名の違いもあります。米国では専門誌には「ドールハウス」と書いてあり、日本と同じ呼び名ですが、言語に厳格な国である英国の場合、ドールズハウスと専門誌には、はっきり書いてあり、発音も「ズ」がはっきりと聞きとれます。この虎の穴ではアメリカ式に習って「ドールハウス」と呼ぶことにしており日本ではこの呼称で統一致しました。またこの「ドールハウスという呼称は趣味全体を表すことで決して単に「家」だけを指すものでないことを知っておいてください